収益認識基準に対応した法人税基本通達のポイント 第1回 新しい法人税法と基本通達の構造

和田倉門法律事務所 弁護士・税理士 石井 亮

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1.収益認識基準に対する法人税の対応が明確に

収益認識に関する会計基準 」(以下,収益認識基準)が,平成30年3月30日付で「 収益認識に関する会計基準の適用指針 」(以下,適用指針)とともに公表され,同年4月1日以後開始する事業年度又は同年12月31日以後終了する事業年度から適用が可能となりました( 収益認識基準82・83項 。強制適用は平成33(2021)年4月1日以後開始する事業年度から)。

これを受けて,平成30年度税制改正において新たに法人税法22条の2が設けられ,平成30年5月30日付で法人税基本通達が改正されました。これらの新たな法人税の取扱いは,原則として,同年4月1日以後終了する事業年度分の法人税から適用されます(改正法附則19条,改正法令附則2条,改正通達25の経過的取扱い(1))。

本稿では,収益認識基準に関する法人税の対応に関して,法人税法,法人税基本通達の規定を前提に,法的な見地から若干の解説を試みるものです。なお,本稿中の意見は,筆者の意見に過ぎません。

2.平成30年度税制改正の基本的な考え方

平成30年度税制改正(及びそれに伴う法人税基本通達の改正)は,概ね以下のような考...