収益認識基準に対応した法人税基本通達のポイント 第2回 収益の計上単位に関する新たな取扱い

和田倉門法律事務所 弁護士・税理士 石井 亮

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1.法人税基本通達の構造

法人税基本通達は,新たに「資産の販売等に係る収益計上に関する通則」という款を設け,そこに収益の計上の単位等に関する定めを置きました。その構造は次のとおりです。

【法人税基本通達の構造】

位置付け 通達番号 旧通達番号 内容 対象
通則 2-1-1 新設 収益の計上の単位の通則 収益認識基準取引
具体的取扱い 2-1-1の2 2-1-10 機械設備等の販売に伴う据付工事がある場合 限定なし
2-1-1の3 新設 資産の販売等に伴い保証がある場合 収益認識基準取引
2-1-1の4 2-1-9 部分完成がある場合 限定なし
2-1-1の5 2-1-12 技術的役務の提供 限定なし
2-1-1の6 2-1-17 ノウハウの頭金等 限定なし
2-1-1の7 新設 ポイント等を付与した場合 収益認識基準取引
2-1-1の8 新設 資産の販売等に係る利息相当部分 収益認識基準取引
2-1-1の9 2-4-11 割賦販売に係る利息相当部分 収益認識基準取引
※収益認識基準取引とは収益認識基準の適用対象となる取引をいう。

これを見れば明らかなとおり,「資産の販売等に係る収益計上に関する通則」の定めには2種の規定が併存しています。一つは収益認識基準に対応するための新たな取...