図解と事例で学ぶ!収益認識基準 第8回:いくら売上になる?(4)

 公認会計士・税理士 内田 正剛

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第8章 いくら売上になる?(4)

1.収益認識と5つのステップの復習

今回も,ステップ3「取引価格を計算する」とステップ4「取引価格を義務へ割り振る」を解説していきます。いつものように今回も,連載第1回( No.3372 )で解説した「【図1】収益認識と5つのステップ」を眺めてから,第8回を読み進めて行きましょう。

【図1】収益認識と5つのステップ

2.取引価格の変動

(1)取引価格の変動を配分する基本的な考え方

売主が提供した商品やサービス等の対価として,買主から受け取ることが見込まれる代金を「取引価格」といいます。取引価格は,契約を交わすときに決めた金額で確定というわけではなく,その後も変動することがありますし,商品などを単独で販売する場合の価格である「独立販売価格」も同様です。

このような場合の取引価格の変動は,独立販売価格の事後の変動を視界に入れずに,当初の独立販売価格を使って変動(=増減額)を配分します。また,既に約束を果たしていた場合は,変動(=増減額)を売上として会計帳簿に記録する必要があるのですが,取引価格が変動したからといって過去の売上の金額を修正するのではなく,変動したタイミングで売...