ハーフタイム なぜ使用権リースか

( 29頁)

2019年1月1日以降の事業年度から使用権リース会計(IFRS16)の強制適用が始まる。

日本基準を使う企業にはいますぐ影響がでるわけではないが,ASBJが検討を始めれば,近い将来に何らかの影響が出るであろう。この機会に"なぜ使用権リースか"考えてみたい。

従来から,貸手から借手へ"実質的に所有権が移るかどうか",これがファイナンスリース(以下FL)とオペレーティングリース(以下OL)の判別基準であることに変わりはない。実質的とは,リース期間中は解約禁止とか,リース料総額は物件購入額の90%以上とか,資産の保有に起因するリスクと便益が借手に移転するのがFL(実質売買+ファイナンス),それ以外はOLである。ただIFRS16はこの区分を貸手側の資産区分に使うだけである(即ちFLなら売却用固定資産から金融資産へ,OLなら投資用固定資産)。借手にとってはFL/OLの如何を問わず使用権リース資産(負債)である。疑問となるのはなぜ使用権かだ。

まず取引の成立過程に注目すると,借手(ユーザー)は製品のメーカー(またはディーラー)と交渉し,自社の希望する製品のデザイン・仕様を決める。次いでリース会社はその製...