時事談論 vol.33「名言に考える会計専門家の不活性化による弊害」

解説
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●名言(迷言?)

マスコミには様々な有識者のコメントが紹介されるが,その中には明らかに専門外の方のコメントが,取材する記者のシナリオに誘導される形で掲載されることがある。賢明な読者の方は当然のことのように疑問を持たれ,内容の真偽を含め,確認したいと強く感じられるようであり,私も第三者として確認を求められることが多い。誤解と認識されることは,真実に近づく良い機会でもあるので,「監査は官で行うべき」という名言(迷言?)を引用して解説してみたい。このコメントは,監査法人に外部有識者として就かれた方のコメントであるが,その内容から誤解の原因が見えてきた。

●「Audit」と「監査」

分かりやすい例として,アメリカの会計検査院は「General Accounting Office」であるが,日本の会計検査院の英訳は「Board of Audit of Japan」である。監査=Auditに対する理解が,日本と他の先進国で大きく異なっている。日本人が海外でAir conditionerを「クーラー」と呼ぶ感じである。会計監査の現場では,同一人物が監査人であり,また会計専門家として機能する...