時事談論 vol.42「『トップは孤独』と人の断捨離」

解説
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●見直される「捨てること」

職業柄,身の周りに紙,本が多い。ここ数年のデジタル化は激しく,週刊雑誌なども携帯端末で見ることが多くなったが,この歳になって,All Digitalでやれるほどの器用さはない。依然として紙の山に囲まれることになる。

そこで,この1年に2度,モノを捨てると決めて取り組んだ。1年以上着ていなかった洋服,読んでいなかった本,使っていなかった鞄,体調が悪い時に使うもの…とにかく「久しぶり」なものを捨てた。「ミニマム」には程遠いが,すっきりした。物があふれていると,それだけで安心するが,隙間ができると「どうしようか?」と考えるようになる。我ながら不思議だ。

捨てて思うことは,あれほど「大事だ」と思っていたモノの大半が,1か月も経つと全く思い出せないことだ。「1年以上着ていなかった洋服」は,いつ着るつもりだったのか?体調が悪くなることに怯えすぎてないか?何人の自分がいるの?と思うくらいの「過剰装備」のせいだ。

モノが多いというのは表面で,その裏側には自分の「傲慢」と「怯え」という相反するものが隠れているのか,と気づきもした。大げさな話だが,残してあったモノは自分...