時事談論 vol.47「日本に固有の第三者委員会という文化」

解説
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●第三者委員会設置の論理

上場企業の場合,あるいは,非上場であっても比較的規模の大きな企業の場合には,不祥事が起きると,必ずと言っていいほど「第三者委員会」やそれに類する委員会が設置される。不祥事対応の記者会見での斜め45度・10秒間のお辞儀と並んで,もはや鉄板といっていい不祥事対応だ。

第三者委員会的なものの始まりは,1997年の山一證券の自主廃業のときかららしいから,まだ20年そこそこの歴史しかない。それが,2010年に日弁連が「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」を公表して,お墨付きを与えたあたりから,定番化したようだ。今では,東証までもが,「上場会社における不祥事対応のプリンシプル」の中で,「② 第三者委員会を設置する場合における独立性・中立性・専門性の確保」などといって,原則の一つに数え上げている。

第三者委員会設置の論理はこうだ。

企業の不祥事は,企業自身に責任がある。したがって,その解明も企業が当たるべきだ。上場企業などの社会的に影響力が大きな企業ならば,猶更,自社の不祥事について,広く投資家や利害関係者に説明すべきだ。

この論理には説得力がある。とはいえ...