企業内容等の開示に関する内閣府令の改正(継続的な差異開示の廃止)について

金融庁企画市場局企業開示課 開示企画調整官 神保 勇一郎
金融庁企画市場局企業開示課 課長補佐 小作 恵右
金融庁企画市場局企業開示課 専門官 村瀬 正貫
  

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一 はじめに

令和2年3月6日,企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(令和2年内閣府令第10号,以下「改正府令」という。)が公布され,同日から施行された。

これは,企業会計審議会における議論等を踏まえ,IFRS任意適用の拡大促進の観点から,指定国際会計基準を適用する企業の開示負担の軽減等を図るため,企業内容等の開示に関する内閣府令(以下「開示府令」という。)について所要の改正を行うものである。

本稿では,継続的な差異開示導入の経緯からその後の廃止までの議論の状況も踏まえ,本改正について解説する。なお,意見にわたる部分については,筆者らの個人的見解であることをあらかじめ申し添えておく。

二 経緯

1 継続的な差異開示導入の経緯

企業会計審議会においては,会計基準のコンバージェンスの進展や国際的な国際会計基準(IFRS)の適用に向けた動きを背景に,平成19年より我が国における国際会計基準の取扱いについて議論が行われ,平成21年6月に「我が国における国際会計基準の取扱いに関する意見書(中間報告)」(以下「中間報告」という。)が公表された。

中間報告においては,高品質な財務報告を目指して...