ハーフタイム パンデミック時の減損処理と予想信用損失引当金
解説
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新型コロナウイルスの世界的拡散がいつ収まるのか見通しがつかない。困ったことに,減損(日本では)や予想信用損失引当金(米国では)に係る会計基準の適用が危ぶまれている(4月20日現在)。理由は2つある。①荷動きも生産活動も止まり,収入減によって実需も激減した状況下では,将来予測が非常に難しい。パンデミックはいずれ終息するが,それは半年後か1年後か,金融危機に波及すれば実体経済の修復はさらに遅れる。市場参加者がパニックに陥れば市場機能は働かず,市場価格が資産の公正価値(以下,“FV”という)は得られない。②代替法として資産の「使用価値」を見積るにしても,いまや「将来の経済情勢に関する合理的かつ信頼性の高い情報」は到底得られそうにない。
先般の金融危機ではFV会計を悪者に仕立て危機を増幅したと批判する声が挙がったが,今回は新型ウイルスが原因だからFV会計を批判しても意味はない。たとえFV会計適用を見送っても,取得原価会計に回帰すれば低価法が待っているから,同じ結果になる。いずれにせよ,資産の時価や価値判断は有用な財務情報には不可欠であり,会計手法を原価法に変えても,確かな回復見通...
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