監査等委員会設置会社の現状と今後の実務上の留意点

解説

獨協大学 法学部 教授 高橋 均

~監査等委員会の視点を中心に~
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Ⅰ.はじめに

平成26年改正会社法において,監査等委員会設置会社が創設された。この創設により,会社は,定款に定めれば大会社か否か,公開会社か否かにかかわらず,監査役(会)設置会社・指名委員会等設置会社・監査等委員会設置会社の三形態の選択が可能となった(会社法326条2項)。昔の有限会社(会社法のもとでは,最低資本金制度が撤廃されたために,現在は新たに有限会社を設立することは出来ない)等の小規模かつ個人企業としての色彩が強い閉鎖会社では,個々の株主が会社経営を直接監視・監督する役割を担っているため,監査役会設置会社や委員会型の会社形態を採用することは稀である。他方,監査役(会)設置会社等の三形態の場合は,個々の株主に監視・監督を担わせるのではなく,経営監視の観点からの制度であることから,三形態のうちどれを選択するかは,各社がガバナンスの観点から最適と考える会社機関設計を擁する会社形態を選択することになる。すなわち,各々の形態の特徴を見据えながら,自社の業種・業態・規模等を勘案しつつ選択することであり,会社法の特徴...