IFRS第16号「リース」の開示事例分析 日本企業編(2019年12月期)

解説

EY新日本有限責任監査法人 公認会計士・米国公認会計士 小山 智弘

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Ⅰ はじめに

IFRSの新たなリース会計基準であるIFRS第16号「リース」(以下,IFRS第16号)は,2016年1月に公表された。これによりIFRSにより財務諸表を作成する企業は,当該基準書の適用を2019年1月1日以降開始する事業年度から始めている。またIFRS第16号は早期適用も可能であったため,2018年度以前であっても海外を含めて適用事例を見ることはできた。しかし大多数のIFRS適用企業は,2019年12月期以降の決算においてIFRS第16号を適用しているため,この度多くの12月決算企業の開示が公表されている。

本稿では,これらの企業から20社をピックアップし,IFRS第16号の開示における論点についてその傾向を分析する。

Ⅱ IFRS第16号の概要

IFRS第16号では,借手は,リース料の支払義務である「リース負債」と,リース期間にわたって原資産を使用する権利である「使用権資産」を貸借対照表に認識する。「リース負債」は,リース期間にわたって支払われるリース料総額の割引現在価値に基づいて測定する。「使...