これからはじめる経済教室 第1回 IMFの経済予測を読み解く(1/2)

解説

有限責任 あずさ監査法人 金融アドバイザリー部 ディレクター 水口 毅

‐“コロナショック”をどう読むか‐
( 34頁)

1.視界不良の今,何に注目すべきか

経営者は自らが売る商品やサービスが今期どれくらい売れそうか,そのためのコストはどれくらいかかりそうかを判断して商品やサービスの供給体制を調整する。コロナショックに見舞われた今,それらの判断が非常に難しくなっている。視界は悪い。

人が旅行に出発する前に天気予報を見て衣類を選んだり傘の要否を判断したりするのと似ている。この喩えで言うと,今は今日の午後の気温も天気も予想できない(予想できたとしても「良くない」ことしかわからない)状況だと言える。

天気予報は気象庁や民間の気象予報サービス会社が提供してくれる。それと同じように,経済の先行きについては各国政府を含む公的当局や民間の「エコノミスト」「シンクタンク」などが経済予測を提供してくれる。

そうした中で,今回お勧めしたいのは,IMFの世界経済見通しである。

会計士の皆さんが監査先企業の会計上の見積りが合理的であるかを評価するにあたり,コロナ禍で不確実性が高い状況の下では,IMFの世界経済見通しなどが...