[全文公開] 金融庁 四半期決算でも適時適切な情報開示を

ニュース
第8回新型コロナ対応連絡協議会開催
( 02頁)
金融庁は6月18日,第8回「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業決算・監査等への対応に係る連絡協議会」を電話会議で開催した。今回は同庁が「新型コロナウイルス感染症の影響に関する記述情報の開示Q&A-投資家が期待する好開示のポイント-」を5月29日に公表したことや,これまでの取組みを踏まえた現在の状況について報告・共有された。また,議論のなかではこれから四半期決算を迎えるにあたって,企業の四半期開示においてこの3カ月の事業環境の変化等に関する適時適切な開示を求めたい旨の発言があり,企業会計基準委員会(ASBJ)等で四半期開示に向けた対応を検討してはどうかとの提案もあった。

ASBJで四半期開示に向けた対応を検討か

金融庁が5月29日に公表した「Q&A」は,有価証券報告書(有報)の記述情報における新型コロナの影響に関する開示について,投資家等が期待する好開示のポイントをまとめたものだ( No.3461・6頁 )。日本公認会計士協会(JICPA)からは,本Q&A等により2020年3月期決算の開示については一定の充実をみた,との見解が示された。監査作業も進んでおり,新型コロナの影響で限定付適正意見となるような事例もほぼなさそうだという。今後の課題に,監査のデジタル化の一層の推進を挙げた。

日本証券アナリスト協会からは,招集通知の発送時期や議決権行使,四半期開示についての報告等があった。新型コロナ対応で招集通知の発送時期が6月総会では例年よりも1週間程度遅れたところが投資家サイドでは多かったものの,電子化によりPDFで確認することができたため,全体としては懸念されたような混乱はみられなかったという。また,四半期開示については,自社の財務情報・非財務情報において,この3カ月間の事業環境の変化等に関する適時適切な開示を求めた。

ASBJからは,議事概要「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」(4月10日公表,5月11日追補)で要請した追加情報の開示について報告があった。会社法では200社程度が追加情報を開示しており,そのなかには決算短信で書いていなかった会社も「追補」を踏まえて会社法で開示したケースもあるという。有報では金融庁の要請「新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示について」( No.3459・2頁 )も踏まえてさらに記載が進んでいるため,これらを分析した上で今後の対応を検討したいとした。また,日本証券アナリスト協会の上記の要請を踏まえ,四半期開示に向けてASBJにおいて何ができるかを考えたい旨の発言があった。

株主総会の分散開催は引き続き課題

2020年3月期会社の定時総会の最集中日は6月26日(金)で,747社(32.8%)が開催を予定している( No.3461・9頁 )。前年同期と比べると,集中度合いは1.93ポイント増加し,最集中日の属する週(6月22日~26日)の集中度合いも,前年より9.13ポイント増加した。こうした現状を踏まえ,株主総会の分散開催については今後引き続き検討が必要とされた。