これからはじめる経済教室 第3回 日銀短観の見方

解説

有限責任 あずさ監査法人 金融アドバイザリー部 ディレクター 水口 毅

‐“コロナショック”をどう読むか‐
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1.「日銀短観」とは,どのようなものか

来たる7月1日(水)に「日銀短観」が公表される。

「日銀短観」は,日銀が全国の企業約1万社を対象として,3か月ごとに実施しているアンケート調査だ。その公表内容は,アンケート調査の結果そのものであり,日銀自身の考えや判断が介在する余地は全く無い。

前回4月1日に公表された短観は,3月11日までに約7割の企業が回答を済ませていたため,東京五輪の延期(3月24日決定)など3月中旬以降の展開が十分には織り込まれたものになっていなかった。このため,4月の短観の結果は,その意味で「まだ十分にコロナショックの影響を反映できていない調査結果」だった。この点,次回7月1日公表の日銀短観は,コロナショックの影響を十分に織り込んだ初の調査結果となるだけに,注目される。

(図表1) 日銀短観における大企業製造業の景況感(「良い」ー「さほど良くない」%)

この「日銀短観」とは,どのようなことを調べるアンケート調査なのだろうか。

調査項目は,①「企業が自社の業況や経済...