カウントダウンKAM適用 第2回 KAMの選定と監査役等とのコミュニケーション

日本公認会計士協会 監査基準委員会副委員長 和久 友子

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第2回目となるKAMに関する本コラムでは,KAMがどのように選定されるのかを取り上げます。KAMは,監査人が監査における重要な事項として選定するものですが,監査役若しくは監査役会,監査等委員会又は監査委員会(以下「監査役等」といいます。)とコミュニケーションを行った事項の中から絞り込むプロセスを経て決定されます。このような関係性から監査役等とのコミュニケーションについても併せて触れたいと思います。

なお,文中意見にわたる部分は筆者個人の見解であり所属する組織の見解ではありません。

1.KAMの決定プロセス

KAMは,次の2つのステップで絞り込みを行うことにより決定されます(図表1)。

【図表1】監査上の主要な検討事項の決定プロセス

ステップ1 :「監査役等とコミュニケーションを行った事項」の中から,「監査上特に注意を払った事項」を決定する。

ステップ2 :「監査上特に注意を払った事項」の中から,当年度の監査において職業的専門家として「特に重要な事項」を決定する。

ステップ1の考慮要素は,【図表1】にあるように,①特別な検討を必要とするリスク又は重要な虚偽表示リスクが高いと評価された領域,②経営者の重要な...