【Web座談会】「withコロナ」時代の経理・財務の働き方

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管理会計ラボ株式会社 代表取締役 梅澤 真由美
有限責任あずさ監査法人 公認会計士 紫垣 昌利
武田公認会計士事務所 公認会計士 武田 雄治
新型コロナウイルスの感染拡大と政府の緊急事態宣言により一気に普及したテレワーク。緊急時の対応を経て課題が見えてきたいま,経理・財務の働き方が抜本的に変わろうとしている。これは単に働く場所や業務のやり方の変更のみにとどまらず,働き手の能力や彼らの評価方法にも大きな転換を促すものになりかねない。「withコロナ」から「afterコロナ」に向けて,経理・財務部員の働き方はどう変わっていくのか。経理の業務改善と監査の専門家に現状や今後についての評価・展望を議論していただいた(座談会はオンラインで7月20日に行った)。

新型コロナで働き方の常識が変わった

1.働く人々の意識に大きな影響

編集部 :3月中旬以降,新型コロナウイルスの感染拡大とそれを受けた政府の緊急事態宣言(4月7日)によって,企業はこれまでの勤務態勢から緊急時のそれへと変更を余儀なくされました。この間,会社員たちはどのような働き方をしていたのか。本誌はいくつかの企業にヒアリングをしたほか,報道や各種の調査結果などから,テレワークを活用した在宅勤務と時差出勤・当番制等の組み合わせで対応していたことが分かりました。このような働き方の変化も踏まえ,今回のコロナの影響をどのようにご覧になりましたか。

梅澤 :テレワークと時差出勤,そして時々の出社という「合わせ技」での対応は予想通りでした。紙などの現物を扱っている経理は,システム面の事情もありますし,よほど進んでいる会社でなければ,この緊急事態下で「完全なテレワーク」に移行するのは難しいだろうと思っていました。ただ一つ,嬉しい意味で誤算だったのは,こうした対応が全社的に行われたこと,つまり,経理や財務部門が他の管理部門等と足並みを揃えることができたことです。しかも3月決算という最も忙しいタイミングで経理部門が対応できたことを考えると,これはもう皆さんの日ごろの努力と準備の賜物だと思います。

一方,ヒアリング結果にもありましたが,管理職の出社率が高かったのが残念でした。「上司が残業しているとなかなか帰れない」という話しは以前からよく耳にすることですが,今回も同様に,部下である人たちを「出社した方がいいのかも」という気持ちにさせた場面があったのではないで...