役員の報酬・賞与・慰労金の基本と実務Q&A<202> 代表取締役社長による各取締役の個別報酬額の決定はフリーハンドか(1)
弁護士 小林 公明
Q
株主総会決議により全取締役の合計報酬の限度額が決定され,その後の取締役会決議により各取締役の個別報酬額の決定を代表取締役社長に一任すると定められた場合,当該一任された代表取締役社長が個別報酬額決定に関し会社に損害賠償義務を負うことがあり得るか。
A
1 結論
取締役会から各取締役の個別報酬額の決定を一任された代表取締役社長は,個別報酬額を決定するに当たり善管注意義務等を尽くす必要があり,その義務に違反して会社に損害を与えたときは損害賠償義務を負うと考えられる。
2 株主総会決議
(1)議案のモデルとひな型
「各取締役の個別報酬額」(以下「個別額」という)決定のプロセスは,通例,「株主総会決議」,「取締役会決議」,「代表取締役社長による個別額の決定」の順である。
今回の掲載ではその最終プロセスまでを説明し,次回にその決定に当たり必要とされる注意義務,その具体的内容及びそれらを踏まえて会社側の採るべき対応等を述べる。
最初の株主総会決議であるが,その多くは全取締役の報酬総額の限度額決議(以下「全取締役の報酬総額の限度額」を「限度額」,その決議を「限度額決議」という)であり,以下のような議案(2019.4...
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