Q&Aコーナー 気になる論点(273) 株式報酬における新株発行と自己株式の処分
早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一
Q 2020年9月11日に公表された実務対応報告公開草案第60号「取締役の報酬等として株式を無償交付する取引に関する取扱い(案)」(コメント期限は2020年11月11日)では,事前交付型の場合,割当日において,取締役等の報酬等として新株を発行する場合には会計処理せず,自己株式を処分する場合には,処分した自己株式の帳簿価額を減額するとともに,同額のその他資本剰余金を減額することとしています。これは,なぜでしょうか。 |
A
実務対応報告公開草案第60号では,取締役等の報酬等として株式を無償交付する取引は,割当日において,財産等の増加は生じていないため払込資本を増加させず,したがって,新株を発行しても会計処理しないことを提案しています。他方,会社法上,自己株式の処分の効力が生じるのは割当日であるため,割当日に自己株式の帳簿価額を減額する方法は,これまでの考え方と整合するとしています。
<解説>
実務対応報告公開草案第60号(1)‐背景
これまでの会社法では,募集株式の発行等(新株の発行又は自己株式の処分)においては,募集株式の払込金額又はその算定方法を定めなければならないとされ(199条1項2号),株式...
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