時事談論 vol81「『デジタル風』はどこまで信用していいか?」

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●フルデジタルとデジタル風

この半年,家から出られない時間を埋めるため,モノを沢山捨てた。見た目の量はあまり減っていないが,時間があったので,書類や写真など,捨てづらく積み重なっていたものに手を付けた。気持ちの中の山はずいぶん小さくなった。

もともと書類を電子ファイル化するために家庭用のスキャナは持っていたが,写真もそれで取り込むと,なかなか綺麗に取り込めた。プロでない自分から見れば,デジタルカメラで撮ったものと写真をスキャナで読み込んだモノの違いは,気にならないくらいだ。技術進歩は凄い。

自分のこと,自分のもの,自分が把握している写真のようなアナログなもの,それらをデジタルデータ化して物質的な劣化を防いだり,検索可能性を高めたり,といったことは,画像や音質,利便性の点で,ここ数年さらに高度化したのだな,と実感した。「デジタル風」がますます「フルデジタル」に近づいている気もした。

●なぜ「リモート監査」ができたのか?

2020年3月期の監査は,緊急事態宣言が出されたこともあり,多くの現場で「リモート監査」と総称されるような,クライアントにも監査法人事務所にも出社せず手続を実施する方法が採用された...