IFRSをめぐる動向 第128回 IFRS実務記述書第1号「経営者による説明(Management Commentary)」の改訂プロジェクト

PwCあらた有限責任監査法人 米国公認会計士 村山 華

( 32頁)

1.はじめに

本連載は,主に国際会計基準審議会(IASB)の月次会議等における討議内容に基づき,IFRSをめぐる最新の動向を伝えることを目的としています。今回は,2021年4月に公開草案の公表を予定しているIFRS実務記述書(Practice Statement)第1号「経営者による説明(Management Commentary)」(以下「PS第1号」という。)の改訂プロジェクトについて,国内外のその他の動向を交えて紹介します。本改訂プロジェクトでは,現在,公開草案の公表に向けた議論が終盤を迎えており,ドラフト作成が進められています。本稿では,IASB会議における暫定決定事項等に基づきPS第1号の改訂の概要について説明していきます。なお,文中の意見にわたる部分は,筆者の私見であることをあらかじめお断りしておきます。

2.IFRS実務記述書第1号「経営者による説明」とは

世界の多くの国では,法定の「財務報告(Financial Reporting)」(日本では有価証券報告書など)において,「財務諸表(Financial Statements)」の他に,財務諸表の内容を補完する財務情報および非...