2020年12月期日本基準決算Q&A 前編 新型コロナウイルス感染症への対応,当期新たに適用される会計基準等

有限責任監査法人トーマツ 公認会計士  田中 圭
有限責任監査法人トーマツ 公認会計士 戒能 唯

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Ⅰ 新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計処理の留意事項

Q1 新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計処理の留意事項を教えてください。

(1)会計処理に関して留意すべき論点

新型コロナウイルス感染症の影響については,現時点(執筆時:11月末)においても日本のみならず世界中で感染拡大が続いており,具体的な収束の見通しは立っていない状況です。新型コロナウイルス感染症は企業の事業活動にも影響を与えており,企業によっては足元の業績悪化に加えて将来の業績を予測することも困難な状況になっているケースも考えられます。

このような状況下における決算においては,将来の業績予想が関連する会計上の見積りについて,留意が必要と考えられます。一般的に検討が必要と考えられる論点および検討ポイントを【図表1】に示します。

【図表1】 将来の業績予想が関連する会計上の見積りに関する論点

論点検討ポイント①市場価格のない株式等の減損処理・ 実質価額が著しく低下したとき(少なくとも株式の実質価額が取得原価に比べて50%程度以上低下した場合)に該当するか・ 子会社や関連会社等(特定のプロジェクトのために設立された会社を含む。)...