<INTERVIEW>リモート決算推進による経理部門の変革~クラウドソリューション導入で効率的な働き方を

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 ブラックライン株式会社 シニアプロダクトコンサルタント/米国公認会計士‐Inactive 石川 康男

<編集部より>

新型コロナウイルスの感染拡大は,リモートによる決算・監査対応を企業に強いた。今後,緊急時の対応を平時に落とし込むためには相応の準備と投資が欠かせない。そこで,クラウド型の決算業務自動化ソリューションを提供するブラックライン株式会社の石川康男氏にインタビューを実施し,現状の課題や「リモート決算」を通した経理部門変革のカギを聞いた。

――新型コロナの感染拡大で,企業の経理部門も在宅勤務を余儀なくされました。今後の業務の進め方・働き方の課題が浮き彫りになりましたが,どのように感じていますか。

まず,このコロナ禍ではリモートで決算ができるか否かが問題になりました。感染者数が増えている中でも経理部門の方は出社せざるを得ない現状があったと思います。日本CFO協会のアンケート調査では,「3月決算企業の経理部門の方々で,全く出社しないで決算作業を行った」のはわずか6%でした 。一方で,テレワークを行わず「5割以上が出社」していた企業が約5割です。我々も業務で他社へ伺うと,「コロナだけど出社していた」といった声を聞きました。

リモートで決算ができない要因としては,やはり「紙」が一番大きいでしょう。顧客から請求書が紙で届いたり,承認印や銀行印の押印が必要だったり。さらに監査の時には,実地棚卸や現金実査など,監査法人の往査への対応も挙げられます。

私自身も20年以上経理畑にいたのでわかるのですが,四半期ごとに決算が来るので,3カ月ごとにピークが来て残業も増えます。特に年度末は決算短信や有価証券報告書の作成,株主総会対応などボリュームのある作業があり,業務量が一定しないことも大きな課題だと思います。

――経理部門のIT化はどのような現状なのでしょうか。

ITは進化していますが,決算になるとExcelを使ったマニュアル作業が多く含まれる点が課題だと思います。ERPや会計システムがあるので,販売・仕入れに関わる部分の自動仕訳,固定資産の減価償却の自動計算などはできます。しかし,決算作業になると決算整理仕訳の作成,勘定内訳明細の作成や残高チェックなど,まだまだマニュアル作業がメインです。

――そのような課題を解決するためにクラウド上での管理が必要になると思います。具体的にはどのような利点があるので...