新春特別対談 SDGs達成を先導する会計の深化と会計プロフェッショナル

~会計大学院協会と日本公認会計士協会の取組み~

会計大学院協会 理事長/青山学院大学 副学長  小西範幸
日本公認会計士協会 副会長/新創監査法人 統括代表社員  柳澤義一

( 24頁)
<編集部より>  2021年の世界経済フォーラム(WEF),通称,ダボス会議では,「グレートリセット」を統一テーマに,グローバル資本主義経済から環境や格差に配慮した持続可能な資本主義への転換についての議論が行われる。SDGs達成に貢献する会計環境が統合報告として世界各国で整備されてきている中で,会計および会計プロフェッショナルの役割の拡充について,会計大学院協会理事長の小西範幸氏と日本公認会計士協会副会長の柳澤義一氏に意見交換を行って頂いた。

SDGs達成を先導する会計プロとは?

小西  国際連合が採択したSDGs(持続可能な開発目標)にある17の開発目標の実現は,国際社会に共通の課題と言われています。その達成には経済成長,社会的包摂,環境保護という3つのサステナビリティの要素を調和させることが不可欠で,国際社会のニーズに合致するよう,各国で統合報告制度が確立され始めています。

この制度を支えることのできる公認会計士をはじめとする会計プロフェッショナルが,世界で求められています。会計大学院では,SDGs達成を先導するプロフェッショナル輩出の役割を,研究力に裏付けられた高い教育力をもって積極的に担っていこうと考えております。

ずばり,お聞きします。SDGsの達成を先導するための会計領域のプロフェッショナルになるためには何が必要だとお考えになりますか。

柳澤  世界が多様化していく中,デジタル・トランスフォーメーションも含めたところで,いちばん大事なのは情報の信頼性だと考えています。社会が高度化,複雑化する中で,情報が信頼できなければ何も進まないですね。信頼性が得られるインフラには,会計プロフェッショナルが不可欠になってきます。情報の作り手として,またそれを利用者に伝える,モニタリングしていく,あらゆる面で会計プロフェッショナルが必要になると思っています。

我々は情報の信頼性を担保する役割の職業として,情報の信頼社会がいかに重要であるかということを社会に訴えていく必要もあるでしょう。当然,信頼性の裏には正しい情報を出すという倫理観が出てくるので,そういうところに貢献していくべきだろうと考えています。

リカレント教育とキャリアアップ/ キャリアデザイン

小西 IT技術の進歩で,情報がある意味氾濫しています。その情報の信頼性を今後どう考えていくかというのは,会計・監査の世界では非常に大きな問題だ...