Q&Aコーナー 気になる論点(284) IASBによる規制資産・負債の公開草案(2)

‐概念フレームワークとの関係‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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 国際会計基準審議会(IASB)が2021年1月28日に公表した公開草案「規制資産及び規制負債」では,規制資産・負債が,概念フレームワークの資産・負債の定義や認識要件を満たすことになるとしているのでしょうか。

はい。公開草案では,規制資産・負債が,IASBが2018年3月に改正した「財務報告に関する概念フレームワーク」(概念フレームワーク)の資産・負債の定義や認識要件を満たすことになるとしています。

<解説>

問題の所在

2014年1月に公表されたIFRS第14号「規制繰延勘定」では,IFRSの初度適用の際に,従前の会計基準に従って規制繰延勘定残高(regulatory deferral account balances)を認識している企業が,IFRSへの移行時にその認識を継続することができるものとし(5項),包括的プロジェクトが完了するまで,その会計方針の大幅な変更を避けることができるとしています(BC15項)。この際,IFRS第14号では,規制繰延勘定残高が概念フレームワークの資産・負債の定義を満たすかどうかについて,見解を示していませんでした(BC21項)。

この点,当時のIASBボー...