JICPA座談会 KAM本適用に向けた展望と期待 第1回 研究者編

関西学院大学 商学部 教授 林 隆敏
北海道大学 理事・副学長 吉見 宏
日本公認会計士協会 監査基準委員会 委員長 長塚 弦
日本公認会計士協会 監査・保証実務委員会 委員長 廣川 朝海

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2021年3月期から監査上の主要な検討事項(KAM)の本適用が始まる。監査人,企業,監査役等それぞれが,今まさに最終的な適用準備を行っていることだろう。そこで本誌では,日本公認会計士協会(JICPA)でKAMの早期適用事例の分析を行った公認会計士チームと,研究者・アナリスト・監査役等との対談を実施。それぞれの立場から,これからの実務に求められることや制度への期待などを語っていただいた。第1回は研究者編。KAMの意義や監査人・監査役等・利用者の役割や期待がテーマだ。

(座談会はオンラインで1月19日に行った。)

長塚  日本公認会計士協会(JICPA)で監査基準委員会の委員長を務めている長塚と申します。本日はKAMについて,研究者の先生方のご意見をお伺いしたいと思います。まずは,簡単に自己紹介をお願いします。

吉見  北海道大学の吉見です。昨年10月から理事・副学長に就任したため現在は教壇から少し離れていますが,それまでは,監査論を専門として会計専門職大学院などで教鞭を執っていました。KAMは監査においてとても重要な変革だと認識していますので,今回の意見交換を貴重な機会と捉えています。

林 関西学院...