【Web座談会】サステナビリティと企業の情報開示 (後編)IFRS財団の役割や非財務報告の未来
ニッセイアセットマネジメント 井口 譲二
野村資本市場研究所 江夏 あかね
青山学院大学/東京都立大学 北川 哲雄
三菱商事 増 一行
日立製作所 増田 典生
公認会計士 森 洋一
[司会]IFRS財団 アジア・オセアニアオフィス所長 高橋 真人
1.非財務報告のあるべき姿と制度化の動向
高橋 前半では,ESG情報開示を巡る動向などを伺いました。後半では,2020年9月にIFRS財団が公表した「サステナビリティ報告に関するコンサルテーション・ペーパー」(CP)を題材として,非財務報告に関するより細かい論点を取り上げたいと思います。
はじめに,非財務報告のあるべき姿について伺います。先ほど北川さんから「規定演技」と「自由(フリー)演技」という譬えがありました。
北川 財務報告では,企業や業種によっては慣行として品目別の売上を自主開示している例があり,こうした開示は私自身,アナリストとして比較可能性の点でとても重宝していました。ただ,非財務報告においてそうした開示をどこまで規定演技化するかというのは議論が必要で,業種ごとの特性などを考慮すべきだと思います。個人的には,仮にサステナビリティ会計基準審議会(SASB)のように緻密なアプローチをとったとしても,規定演技はミニマムであるべきだと考えています。
一方,自由演技においては,企業自身の姿勢や投資家との関係が試されます。投資家にとどまらない広範なステークホルダーと手を携えるという観点から,工...
- 経営財務データベースで続きを読む
-
無料 2週間のお試しはこちら
すぐに使えるIDをメールでお送りします