カウントダウンKAM適用 第9回 KAM草案アップデート及び株主総会対応等(最終回)

日本公認会計士協会 常務理事 志村 さやか

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カウントダウンKAM適用の最終回となる今回は,期末日後に実施すべき事項に関して有価証券報告書提出までを含めた留意事項を中心に解説します。

なお,文中意見にわたる部分は筆者個人の見解であり所属する組織の見解ではありません。

1.KAM草案アップデート

KAMは,当年度の財務諸表監査において監査人が特に重要であると判断した事項になりますので,企業の状況や企業環境の変化及び期末日後の監査手続の実施結果によって,KAMの内容や記載が見直される場合もあります。昨年3月期の早期適用時には,新型コロナウイルス感染症の影響の見通しが変化したこともあり,3月末時点に想定していたKAMの草案について,金融商品取引法の監査報告書の提出日までの間に,項目や記載内容に変更が生じた会社は少なくなかったと聞いています。

新型コロナウイルス感染症の影響の見通しの変化以外にも,期末日後の監査手続を実施していく過程で,会計・監査上の論点を新たに識別することもありますので,KAMの草案は期末日に確定するわけではないという点にご留意ください。

2.KAMと企業開示との関係

第3回(No.3476)にも記載しましたが,財務諸表利用者は,K...