Q&Aコーナー 気になる論点(295) 外貨換算に関するIASBの議論(1)
早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一
Q 国際会計基準審議会(IASB)は,IAS第1号「財務諸表の表示」を置き換えるように,2019年12月に公開草案「全般的な表示及び開示」(IAS第1号改正案)を公表し,為替差損益を生じさせた項目から生じる収益・費用と同じ損益計算書の区分に分類することを提案していました。わが国では,為替差損益を営業外損益としており,IASBでは,関係者からのコメントを受けて,審議している中で為替差損益の表示を見直しているのでしょうか。 |
A
2021年7月開催のIASBボード会議では,IAS第1号改正案と同様に,IAS第21号「外国為替レート変動の影響」28項及び30項を適用して損益計算書に含めた為替差額を,当該為替差額を生じさせた項目からの収益・費用と同じ損益計算書の区分に分類すること,ただし,IAS第1号改正案とは異なり,そのような分類が過大なコストや労力を伴うこととなる場合には,当該項目に係る為替差額を営業区分に分類することを暫定的に決定しています。
<解説>
IAS第1号改正案における損益計算書の区分
IASBは,財務報告におけるコミュニケーションの改善(better communication)に関する...
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