KAMの本適用に関する座談会 第4回(最終回) 規制当局・学界編

金融庁 企画市場局 審議官 井上 俊剛
関西大学会計専門職大学院/日本監査研究学会 教授/会長 松本 祥尚
[司会・進行]青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科 教授 町田 祥弘
  

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監査上の主要な検討事項(KAM)の本適用に関する座談会の第4回は,これまでの3回の座談会(第1回監査役等,第2回監査人,および第3回利用者)を受けて,そこで提起された問題点等をKAMの制度設計に関わった金融庁と,今後,制度や実態の分析・研究に当たられる学界の立場からの参加者をお招きして,規制当局・学界編をお届けする。

町田祥弘氏(以下,町田)  KAMの本適用に関する座談会の第4回目として,規制当局である金融庁から井上さん,監査論研究者の立場から松本先生にお話を伺います。まずは,KAMとの関わりを含めて,自己紹介をお願いします。

井上俊剛氏(以下,井上)  金融庁企画市場局審議官の井上です。企業開示課長を2年間務めた後,企画市場局の参事官としても開示を担当してきました。本日はKAMの適用準備に関わってきた立場からお話しさせていただきます。

松本祥尚氏(以下,松本) 関西大学の松本です。この9月より日本監査研究学会の会長を務めています。また金融庁からの公式オブザーバーとして,2017年3月から(国際監査基準を設定している)国際監査・保証基準審議会(IAASB)に参加しています。個人的にも,これまで...