新型コロナで財表上の雇用調整助成金の重要性高まる

表示方法の傾向と営業外収益・特別利益への計上判断
( 02頁)
新型コロナウイルス感染症の影響により,企業の経済活動を支えるための補助金や雇用維持のための助成金の受給申請が増えている。例えば,新型コロナ特例に係る雇用調整助成金では,10月5日時点の支給決定額は4兆円を超えている。
会計的な側面から見ると,雇用調整助成金は,労働者個人への支給ではなく事業主に支払われ,交付された金額は企業の収益となるため,その会計処理および表示方法が論点になる。従来の会計慣行では,助成金の類は営業外収益に計上する実務が一般的とされるが,今般の状況下では,特別利益への計上やその他の判断もあるようだ。そこで本号では,2021年3月期に係る有価証券報告書での雇用調整助成金の表示方法等の傾向を確認する。

営業外収益・特別利益への計上判断

雇用調整助成金とは,事業主が労働者に支給する休業手当等の一部を助成するもので,新型コロナに係る特例措置では,一定の要件に該当する場合,上限額の引上げ等が行われている。適用期間は随時延長されており,現時点では11月30日までとなっている。中小企業だけでなく上場企業での申請も多く,金額的重要性が高まっている企業もある。

新型コロナ特例に係る雇用調整助成金...