トレンド・実例紹介! 収益認識会計基準「収益の分解情報」四半期注記の開示分析

 公認会計士 山田 善隆

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1.はじめに

3月決算会社においては,2021年4月1日以降開始した事業年度及び連結会計年度より企業会計基準第29号「 収益認識に関する会計基準 」(「収益認識会計基準」という)が適用されており,すでに収益認識会計基準を適用した四半期(連結)財務諸表の開示が始まっている。

収益認識会計基準は,損益計算書のトップラインである営業収益に重要な影響を与える場合があるほか,開示面でも様々な注記を求めている点が特徴であり,財務数値への影響だけでなく,関連する開示にも注目が集まっている。

四半期(連結)財務諸表においては多くの注記項目の省略が認められているが,収益の分解情報については,財務諸表利用者が企業の業績を理解するために特に有用な情報になると想定されるため,四半期においても注記が求められる。そこで本稿では,収益の分解情報について四半期報告書における開示例をもとに分析・検討したい。

なお,文中の意見にわたる部分は筆者の私見であることをあらかじめ申し添える。

2.収益認識会計基準の定め

はじめに収益の分解情報の開示に関する収益認識会計基準の定めを確認しておこう。

(1)分解区分の決定方法

収益認識会計基準は,顧客と...