会計知識録 第23回 株式の追加取得で利益が計上されるのはなぜ?
公認会計士 溝口 聖規
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はじめに
最近、事業の選択と集中による競争力の強化などを目的として、グループの組織再編に取り組む会社が増えています。その中で、グループの組織再編の一環として、一部出資をしていた会社の株式を追加取得することで子会社化するケースがあります。
三越伊勢丹ホールディングス(以下、三越伊勢丹HD)は4月26日、高級スーパー「クイーンズ伊勢丹」を運営する関連会社・エムアイフードスタイルを完全子会社化すると発表しました。三越伊勢丹HDは同社の株式を34%保有していますが、2018年に投資ファンドに売却した66%分を買い戻すことで、2022年4~6月期に34%分の株式の再評価に係る特別利益を39億円計上するとのことです。株式を購入しただけで利益が上がるものなのか、そもそも株式の再評価とは何かといった疑問をもつ人もいるのではないでしょうか。
通常、資産を取得しても利益は計上されません。例えば、株式(有価証券)100万円を取得する場合の会計処理は、次の通り有価証券と現金及び預金が等価交換されるだけです。
・株式取得時の会計処理
(単位:万円)
借)有価証券 | 100 | /貸)現金及び預金 | 100 |
そして、当該株式を処分する時点で...
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