<INTERVIEW>中小監査事務所への期待① 日本公認会計士協会 南 成人 副会長~JICPAの中小事務所支援に向けた取組み

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日本公認会計士協会 副会長 南成人

中小監査事務所の存在感が増している。本誌調査では、2021年の監査人交代事例のうち4割が大手監査法人から中小事務所への移行だった。監査品質の向上が必須とされる中、本年5月に成立した改正公認会計士法では、上場会社等監査人登録制度の導入、「監査法人のガバナンス・コード」の受入れといった方策が盛り込まれ、今後、中小事務所が担う役割は一層重要になる。

一方で、中小事務所といっても体制は様々であり、日本公認会計士協会(JICPA)による支援が欠かせない。法改正を受けて、JICPAは中小事務所の経営基盤強化に向けてどのような対応を進めていくのか。そして、中小事務所は現状をどう認識し、品質向上に向けた体制作りを行っていくのか。今回は、JICPAで中小事務所の支援を担当する南成人副会長にインタビューを行い、その具体策や方向性について話を聞く。

1.これまで以上の支援充実めざす

―中小監査事務所支援を担当する副会長に就任されました。まずは抱負をお聞かせください。

私は監査基準や中小事務所支援の分野を中心に、2004年からJICPAの活動に携わってきました。監査品質の向上に向け、監査基準委員会報告書の要求事項に、中小事務所がどう適応していくかが課題としてあり、監査調書の様式である「財務諸表監査・内部統制監査の手引」(中小事務所等施策調査会 監査専門委員会 監査ツールワーキンググループにおいて作成している研修資料。通称「水色本」)といった監査支援ツールなどの開発・普及活動に取り組んできました。

2019年に中小事務所支援担当常務理事に就任してからも、デジタル化支援の強化、倫理や品質管理等に関する国際的な動向把握と中小事務所の視点に立ったコメント発信など、各種施策を行ってきました。このほど副会長に就きましたが、公認会計士法が改正されたこともあり、これまでの集大成として、支援に向けた取組みを一層進めていきたいと考えています。

私自身は大手監査法人に7年勤めた後、監査法人を設立しました。準大手監査法人に成長するまでの約30年にわたり、今でも監査業務を行い、監査法人の経営に携わっています。ですから実体験として、高品質な監査のためにはしっかりとした経営基盤や人材の必要性を認識しています。この経験を活かし、中小事務所に必要なる支援をしていきたいと思います。

―倫理規則の改正なども...