Q&Aコーナー 気になる論点(330) IFRS第9号「金融商品」の適用後レビュー

‐分類及び測定に関する報告書‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

( 38頁)

 国際会計基準審議会(IASB)は、2022年12月21日に、IFRS第9号「金融商品」の分類及び測定に関する適用後レビューの「プロジェクト報告書及びフィードバックステートメント」(報告書)を公表しました。IFRS第9号では、資本性金融商品に関するその他の包括利益(OCI)への表示の選択(OCIオプション)を行った際は、リサイクリングしないこととしていますが、報告書では、これらを見直すこととしているのでしょうか。

いいえ。2022年12月公表の報告書では、OCIオプションの変更はしないとしています。ただし、IASBは、OCIオプションを適用した資本性金融商品に係る公正価値(FV)変動の追加的な開示を暫定的に決定しています。

〈解説〉

適用後レビュー

「IFRS財団デュー・プロセス・ハンドブック」では、新規のIFRS又は大きな改正があった際に、IASBは、通常、2年間適用された後に、適用後レビュー(post-implementation review)を開始するとし(6.48項)、それには[図表1]の2つのフェーズがあるとしています(6.50項)

[図表1]適用後レビューのフェーズ

フェーズ...