2023年3月期日本基準決算Q&A 前編 グループ通算制度、時価算定適用指針

有限責任監査法人トーマツ 公認会計士 田中 圭

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※文中の意見にわたる部分は、筆者の私見であり、筆者の所属する法人の見解ではないことをあらかじめお断りします。

Ⅰ グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い

Q1 2023年3月期より適用となる、実務対応報告第42号「グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い」(以下、「本実務対応報告」といいます。)の公表の経緯について教えてください。

2020年3月27日に成立した「所得税法等の一部を改正する法律」(令和2年法律第8号)において、連結納税制度が見直され、2022年4月1日以後開始する事業年度から、グループ通算制度に移行することとされました。わが国では従来、実務対応報告第5号「 連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その1) 」及び実務対応報告第7号「 連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その2) 」において連結納税制度を適用する場合の会計処理及び開示が定められていましたが、グループ通算制度への移行に伴い、この制度を適用する場合の会計処理及び開示の取扱いを定める必要が生じていました。

この点、2020年3月に、実務対...