ハーフタイム 金融不安定性の原因と対策

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リーマン・ショックから15年、米国の中小銀を中心として金融危機が再び高まり、欧州の大手行にも波及した。政府はすかさず預金保護、中銀や大手行は流動性支援策など(その規模はリーマン時の2倍)を矢継ぎ早に発表、一応沈静化に成功したかのように見えるが予断は許されない。ここで疑問となるのは“金融不安定性の原因は何か”であり、課題はそれに応じた企業の対策である。まず、リーマン・ショックの直接的原因はサブプライムローンと住宅バブル崩壊だったが、今回は次の3つ(いずれも米国中心)であろう。

①FRBによる急速な利上げ。物価安定だけでなく金融システムの安定も期待されていたが、歴史的なインフレ対策を優先するあまり、1年間の利上げは計4.75%に達した。

②破綻銀行は低利借入に依存するとともに、需要が低迷する融資に回せず、ほとんど債券投資で運用していた。そのため取り付け騒ぎで債券を売却せざるを得なかったときには、保有国債の含み損は巨額に達していたが、元IMFのチーフエコノミストのケネス・ロゴフ氏らが昨年末に警告したように、金利高止まりによる債務問題が発生し国債に実質利回り(国債利回りから予想インフレ率を引いたも...