<INTERVIEW>内部統制報告制度の見直しと真のねらい 企業会計審議会 内部統制部会長 堀江正之
〈編集部より〉 導入から15年余り、“形骸化”が指摘されていた内部統制報告制度がついに改正された( No.3601・7頁 )。焦点となっていた経営者評価における数値基準等の例示は削除されなかったものの、機械的に適用すべきでないとし、リスクアプローチの徹底を促す。評価範囲の決定に係る開示を拡充し、経営者と監査人の協議も促す。実務家から「制度の運用を大きく変える改訂ではない」といった声も聞かれる中、今回の改訂の真のねらいはどこにあるのか、内部統制基準・実施基準の改訂を取りまとめた企業会計審議会の堀江正之内部統制部会長に、改訂の「背景と意義」、「実務への影響からみた改訂のポイント」、「今後の課題と方向性」などを聞いた。 |
1.内部統制基準改訂の背景と意義
――まず、今般の基準改訂の背景について、簡単にご説明いただけますでしょうか?
内部統制に直接・間接に影響を与えるような環境変化を反映する必要があったということもありますが、経営者による内部統制の評価範囲外で開示すべき重要な不備が明らかになるなど、本制度の実効性に対する懸念への対処の要請が高まったということが大きな要因ではないかと思います。
――内部統制報告制度の運用を大きく変える改訂ではないといった声もあるようですが、基準改訂の意義をどのようにみるべきでしょうか?
表面的には、経営者評価のあり方や監査のあり方を大きく変えるような改訂には映らないかもしれません。ですから、改訂箇所だけを追いかけて、その対応のみを追加的に行えばよいと考えがちかもしれません。
しかし、改訂の主な背景としての本制度の実効性に対する懸念というのは、何のための内部統制かということが長い間に徐々に薄れてしまったことに起因しているのではないでしょうか。
肝心なことは、経営者による評価や監査人による監査を、基準の文言に従った単なる「手続」として見ないことです。今回の改訂をキッカケとして、会社側も監査人側も、本制度は何のために存在するかを再度確認してもらい、マンネリ化した実務を一度見直してみる機会としていただきたいと思います。
2.改訂基準の全般的な留意点
――先ほど、「基準の文言に従った単なる『手続』として見ないこと」といったお話がありましたが、それは内部統制の本質的な部分にこそ目を向けるべきということでしょうか?
おっしゃる通り...
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