<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第88回 概念フレームワーク(4)

 国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継

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フレミングの法則

フレミングの法則という言葉を憶えておられるだろうか。人差し指と、中指と親指をそれぞれ立てて、それぞれの指が、磁界の方向、電流の方向、力の方向を示すという法則である。左手の法則と右手の法則があり、覚えるのが簡単なようで難しい。筆者も中学の理科の試験のために必死に覚えたが、問題を解こうとすると、手の向きが逆だったりして混乱する。これを電車の中で覚えようとして、左右の手の指を立ててひねくり回すと、周りから変な目でみられたりする。

このコラムをお読みの方は文系の方が多いと思うので、ほとんどの方が、日常の生活でこの法則を使う事はないのではないかと思う。しかし、我々の生活を取り巻くエレクトロニクスは全てこの法則に支配されている。この法則を間違えるとモーターが逆回転して大混乱になる。絶対不変の法則である。

会計にもこのような絶対不変の法則があればよいのにと考えていた人たちがいた。

欧州統一市場のための会計基準

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