<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第93回 概念フレームワーク(9)

 国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継

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アテンションプリーズ

アテンションプリーズは、1970年に放送された飛行機の客室乗務員に関わるテレビドラマのタイトルである。田舎の高校を卒業した女性が厳しい訓練を経て、一人前の客室乗務員に成長するまでの物語で、大変な人気ドラマとなった。ちょうど大阪万博が開催された年で、日本の国際化が強く意識された時代であった。筆者は1971年の3月に小学校を卒業したが、ちょうどそのドラマが最終回を迎えた頃で、クラスの女子は全員、将来の夢は飛行機の客室乗務員になることと文集に書いていた。テレビドラマの影響は恐ろしい。

ちなみにアテンションプリーズという言葉は、当時客室乗務員が機内で救命設備の説明をする際に、搭乗した乗客全員に注意して聞いてもらうための特別な言葉で、むやみに使われる言葉ではないが、このドラマのおかげで、この言葉は客室乗務員が常に使っている言葉のように受け取られていた。今は救命設備の説明はビデオで行われるので、客室乗務員がアテンションプリーズという言葉を口にすることはなくなった。

なお、客室乗務員という言葉は、当時は使われておらず、スチュワーデスと言った。スチュワーデスはsteward(執事)の女...