新・経理実務最前線!Q&A 監査の現場から 第16回 株式取得により連結子会社とする場合の時価評価に関する間違いやすいポイント

EY新日本有限責任監査法人 公認会計士 佐々木 耕平

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株式取得による子会社化は多くの会社では非経常的な取引であり、会計処理も複雑であることから、誤りが起きやすいといえます。また、取引金額が多額になることも多く、結果として多額の会計処理の誤りにつながる可能性があります。

今回は、株式取得により連結子会社とする際に従うべき会計基準を確認し、さらに、重要な論点である子会社の資産・負債の時価評価に関する間違いやすいポイントを解説します。

なお、本稿の意見にわたる部分は筆者の個人的な見解であり、EY新日本有限責任監査法人の公式見解ではないことを予め申し上げます。

Q1

他社の株式の過半数を現金を対価として譲り受けて子会社とし、連結財務諸表を作成します。会計処理はどの会計基準に従えばよいでしょうか。

A1

他社を連結する場合、企業会計基準第22号 「連結財務諸表に関する会計基準」 (以下、「連結会計基準」という。)に従い会計処理を行う必要があります。連結会計基準に定めのない企業結合に関する事項については、企業会計基準第21号 「企業結合に関する会計基準」 (以下、「企業結合会計基準」という。)に従う必要があります(連結会計基準第19項)。

まず、企業結合会計基準に従い、他...