【座談会】資本市場の信認を高めるために何が必要なのか 第1回 MG改革の背景

~サステナビリティ情報開示を含む監査・倫理基準の重要性~

前・公益監視委員会 ボードメンバー 柏木 茂雄
国際会計士連盟 ボードメンバー 觀 恒平
有限責任 あずさ監査法人 パートナー 関口 智和
[司会・進行]日本公認会計士協会 国際担当常務理事 新井 達哉

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国際的な監査・倫理基準設定のモデルが転換期を迎えた。「基準設定主体に対する監査業界の影響が強すぎるのではないか」等の議論をきっかけに、グローバルな規制当局の集まりである「モニタリング・グループ」(MG)が構造改革を提言。本年1月、監査の基準を策定する国際監査・保証基準審議会(IAASB)と、倫理に関する基準を策定する国際会計士倫理基準審議会(IESBA)の運営の担い手が、「国際倫理・監査財団」(IFEA)という新たな組織に移管した。これまで2つの組織を傘下としていた国際会計士連盟(IFAC)は資金や人材のサポートを行う立場となり、IAASB・IESBAのボードメンバー指名委員会も独立監視主体である公益監視委員会(PIOB)が担うことになった(図表1)。

こうした動きの認知度は高くない。しかし、国際基準は日本の基準作りに直結し、将来的には経理・監査の実務に影響を及ぼすため、注目しておく必要がある。そもそもMGによる改革とは何か、そして日本は基準設定プロセスにどのように貢献できるのか。関係者による座談会を通して、全3回にわたってお伝えする。

1.国際的な基準と日本の関係

新井 日本公認会計士協会...