Q&Aコーナー 気になる論点(348) FASBの概念フレームワーク

‐認識及び認識の中止‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

( 36頁)

 米国財務会計基準審議会(FASB)が、2023年8月30日に公表した財務会計概念書(SFAC)第8号「財務報告のための概念フレームワーク:第5章 認識及び認識の中止」(SFAC第8号第5章)は、どのような内容でしょうか。

SFAC第8号第5章では、3つの認識規準として、「財務諸表の構成要素の定義」「測定可能性」「忠実な表現」を挙げています。また、ある項目が当該認識規準のいずれかを満たさなくなった場合、認識を中止することとしています。

〈解説〉

経緯

FASBは、IASBとの共同プロジェクトにより、SFAC第1号「営利企業の財務報告の目的」とSFAC第2号「会計情報の質的特性」を置き換えるように、2010年9月にSFAC第8号第1章と第3章を公表しました。その後、FASBは、単独でこのプロジェクトを行っており、SFAC第8号第5章は、2022年11月の公開草案 に対するコメントを反映し公表されたものです([図表1])。

[図表1]FASBの財務会計概念書(SFAC)

号公表時期名称第5号1984年12月(*4)営利企業の財務諸表における認識と測定第7号2000年2月(*5)会計測定におけるキャ...