四半期開示の見直しに係る法令・基準等改正の状況
京都先端科学大学 国際学術研究院 特任教授 元パナソニック株式会社 理事 山田 浩史
1.はじめに
「金融商品取引法等の一部を改正する法律」が、2023年11月20日に国会で成立した。これで、2022年12月に公表された金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告(以下「DWG報告」)によって示された第1四半期(以下「1Q」)と第3四半期(以下「3Q」)の金融商品取引法(以下「金商法」)の四半期報告書と取引所規則に基づく四半期決算短信の「一本化」が法制化されたことになる。今回の金商法の改正事項のうち、四半期開示の見直し(四半期報告書制度の廃止等)は2024年4月1日以降に開始する四半期から施行される。東京証券取引所(以下「東証」)は、今年6月から「四半期開示の見直しに関する実務検討会」(以下「実務検討会」)を設置し、DWG報告によって示された「一本化」の具体的な方向性に沿った実務の実現に向けた検討を開始し、11月22日に「四半期開示の見直しに関する実務の方針」(以下「実務方針」)を公表した。
本稿では、財務諸表作成者(以下「作成者」)としての長年の実務経験や企業会計基準委員会(以下「ASBJ」)委員として四半期会計基準等の策定に関わった経験を踏まえて、東証の実務検討...
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