内部統制報告制度の改正を踏まえた実務対応 第5回(最終回) 内部統制報告書の訂正時の対応について

有限責任 あずさ監査法人 公認会計士 小林 克巳

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はじめに

本連載は2024年4月1日以降適用される内部統制報告制度の改正を踏まえた実務上の対応について解説しています。第5回(最終回)となる本稿では、内部統制報告書の訂正時の対応に関する改正内容並びにその後の不備の是正状況に関する内部統制報告書での取扱いについて解説します。なお、本稿における意見に係る部分は、執筆者の私見に基づくものであり、執筆者が所属する法人の公式見解ではないことをお断りします。

1.改正の背景

2023年4月7日に公表された「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について(意見書)」(以下「意見書」といいます。)では、内部統制報告制度の導入により、財務報告の信頼性の向上に一定の効果があったと評価しています。その一方で、経営者による内部統制の評価範囲の外で開示すべき重要な不備が明らかになる事例や内部統制の有効性の評価が事後的に訂正される際に十分な理由の開示がない事例が一定程度見受けられると指摘しています。

当初、内部統制は有効と評価したにもかかわらず、その後、過年度における不適切な会計処理が発覚し、有価証券報...