【座談会】資本市場の信認を高めるために何が必要なのか 第3回 基準設定の現実と将来のグローバル基準設定への貢献

~サステナビリティ情報開示を含む監査・倫理基準の重要性~

国際監査・保証基準審議会 ボードメンバー 甲斐 幸子
前 国際会計士倫理基準審議会 ボードメンバー 福川 裕徳
前 国際監査・保証基準審議会 諮問助言機関 メンバー 吉井 一洋
[司会・進行]日本公認会計士協会 副会長 藤本 貴子

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本誌では、グローバルな規制当局の集まりであるモニタリング・グループ(MG)による改革と、それが国際監査・保証基準審議会(IAASB)と国際会計士倫理基準審議会(IESBA)や両者の基準設定プロセスを監視する公益監視委員会(PIOB)に及ぼす変化に関して座談会を実施してきた。第1回( No.3627・10頁 )では「MG改革の背景」、第2回( No.3631・8頁 )では「PIOBの役割の変化」を取り上げた。最終回となる第3回は「基準設定の現実と将来のグローバル基準設定への貢献」をテーマに、昨今の議論の状況や今後の見通し、日本から議論に参加することの重要性などを議論していただいた。

1.各基準設定主体での議論の状況

藤本  本日は、基準設定に直接関与している、あるいはしていたお三方にご参加いただきます。基準設定主体で具体的に何をどのように検討しているのかをご存じない方もいらっしゃると思うので、まずはそれぞれの基準設定主体での議論の状況やその背景を教えてください。

福川 私は、2017年から2022年までの6年間、IESBAのボードメンバーを務めました。その6年間を振り返ってみると、年を経るごとに会計士以...