Q&Aコーナー 気になる論点(356) FASBの測定に関する概念フレームワーク案(1)

‐混合測定‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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 米国財務会計基準審議会(FASB)が2023年12月21日に公表した財務会計概念書(SFAC)案第8号「財務報告のための概念フレームワーク:第6章 測定」(SFAC案)は、国際会計基準審議会(IASB)が2018年3月に改正した「財務報告に関する概念フレームワーク」(IASB概念フレームワーク)と同様に、混合測定を提案しているのでしょうか。

SFAC案では、財務報告の目的を満たすためには、複数の測定体系が必要であり、各報告日の測定に関して、入口価格系と出口価格系を選択するとしているため、混合測定を提案していると考えられます。

〈解説〉

経緯

FASBは、IASBとの共同プロジェクトにより、[図表1]のように、2010年9月にSFAC第8号第1章と第3章を公表し、SFAC第1号「営利企業の財務報告の目的」とSFAC第2号「会計情報の質的特性」を置き換え、その後、単独でこのプロジェクトを行い、SFAC第8号の最後の章としてSFAC案を提案しています(コメント期限は2024年3月20日)。

[図表1]FASBのSFAC第8号「財務報告のための概念フレームワーク」

章公表時期名称第1章2010年9月...