経理財務のためのサステナビリティ情報開示最前線~CSRDの本場欧州ドイツから 第3回 ドイツでのサステナビリティ開示・保証と日系企業の状況

PwCドイツ  藤村 伊津
  戸原 英則

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1.はじめに

昨今、CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive:企業サステナビリティ報告指令)への対応がEU域内に拠点を置く企業の急務になっている。CSRDは適用範囲が広く、EU域内の現地法人(EU事業者)のみならず、EU域外の事業者も「第三国事業者」としてサステナビリティ情報を開示する必要がある。そのため、日本企業にとっては、EU域内の子会社だけでなく、日本の親会社もCSRDへの対応が必要である。また、CSRDはサステナビリティ情報の開示指令であるため、サステナビリティ部門が対応の中心となることが考えられるが、経理財務部門の関与も必要である。これは、開示するサステナビリティ情報は監査の対象となるため、サステナビリティに関する全社統制や各業務処理統制の構築、監査対応のためのエビデンス準備、保証付与者である監査法人等との事前の協議が必要であることから、内部統制や監査対応の経験および知見を持つ経理財務部門の関与が重要であるためである。

第1回(No.3637・29頁)と第2回(No.3641・30頁)においてCSRD並びにその基準であるE...