IFRSをめぐる動向 第160回 IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の適用後レビューの検討状況

PwC Japan有限責任監査法人 公認会計士 浅井 麻菜

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1.はじめに

本連載は、主に国際会計基準審議会(IASB)の月次会議における討議内容に基づき、IFRSをめぐる最新の動向を伝えることを目的としています。IASBは、現在IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」(以下「IFRS第15号」という)の適用後レビューを実施しています。

本稿では、2023年6月に公表された情報要請「IFRS第15号『顧客との契約から生じる収益』の適用後レビュー」(以下「情報要請」という)について、2024年1月開催のIASB月次会議で議論された情報要請へのフィードバックの概要について紹介します。なお、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であることをあらかじめお断りします。

2.背景

IFRS第15号は、顧客との契約から生じる収益の会計処理を改善するために米国財務会計基準審議会(FASB)と共同で開発され、2014年5月に公表されました。2018年1月1日以後開始する事業年度より適用されています。

IASBは、IFRS基準の開発に係るデュー・プロセスの一環として、新基準または既存の基準の大規模な修正について通常2年間適用された後に適用後レビューを行うこととしており、20...