役員の報酬・賞与・慰労金の基本と実務Q&A<218> リベート着服代表取締役への対応(1)
弁護士 小林公明
Q
創業者からその能力を買われ取締役に就任後2年で代表取締役社長に就いた者乙が、仕入先と共謀して水増しした仕入代金を当社に請求させ、会社が支払ったその代金の一部を乙の個人口座に振り込ませ、そのリベートを個人的に費消していた事実が発覚し、会社の取締役会で代表取締役社長を解職したところ、あろうことかその解職は不当だとして会社に対し損害賠償を請求してきた。
どう対応すべきか。
A
1 結論
会社とすれば、乙からの損害賠償請求を拒絶し、逆に乙に対する刑事民事上の手続きを検討すべきである。
2 乙の損害賠償請求
まず乙から会社に対する損害賠償請求につき検討する。
当該請求につき考えられる構成は二つあり、その一つは、質問にある代表取締役乙解職のケースに、取締役解任の場合の会社法の条項を類推適用することである。
(1)代表取締役解職に取締役解任の条文の類推適用
ア 任期中であることを要する
会社法339条 2項は解任された役員(取締役を含む、 329条 1項)は、その解任に正当な理由がある場合を除き、会社に対し損害賠償を請求できると規定する。
当該条項中には「任期中に」との明定はないが、「会社法339条2項が解任された取締役に損...
- 経営財務データベースで続きを読む
-
無料 お試しはこちら
すぐに使えるIDをメールでお送りします