役員の報酬・賞与・慰労金の基本と実務Q&A<227> 取締役のカスハラ対応(3)
弁護士 小林公明
これまでに(本誌 3677号 ・ 3678号 参照)、質問との関係で、カスハラ問題の現状、カスハラ対策の法制化に向けての動向、裁判例が対策企業マニュアルを重視していること、及びそれらを踏まえ会社の在るべき姿等につき述べた。
今回は、専らカスハラと刑事事件の関係につき述べる。
7 カスハラと刑事事件
(1)刑事も視野に入れる
カスハラ行為者(加害者)が恐れるのは自身が刑事民事の責任を追及されることすなわち、その行為が犯罪として処罰され損害賠償を請求されることであるが、中でも加害者に対する抑止力がより強いのは刑事であり、これを裏付けるように「警察官が来たら加害者が途端におとなしくなった」ことはよく見聞きする(後述のように警察署に乗り込む例外もあるが)。
厚生労働省公表の報告書(前記2(1))も同旨を次のように述べる。
(企業における総合的な対策の必要性の一つとして‐筆者注)カスタマーハラスメントは、顧客等の権利の濫用・逸脱であり、金品の要求や土下座の強要といった著しく不当な要求もみられ、本検討会で実施したヒアリングでも把握されたとおり、暴行、傷害、脅迫などの犯罪に該当し得るものもある。こうした行為については、...
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